高知県から施設園芸を変える産学官連携プロジェクト

IoP(Internet of Plants)が導くNext次世代型施設園芸農業への進化プロジェクトは、高知県が優位性を持つ施設園芸分野において日本全国・世界中から研究者・学生・企業が集積する産業集積群をつくり、最新の施設園芸関連機器、IoT・AI技術を広く農業関係者に普及させ、農家所得の向上や産地のブランド化につなげる産学官連携プロジェクトです。
(平成30年度内閣府地方大学・地方産業創生交付金採択事業)

ごあいさつ

高知県Next次世代型施設園芸農業に関する
産学官連携協議会 会長挨拶

高知県知事 濵田 省司
濵田 省司高知県知事

産学官の力を結集し、未来の農業を切り拓く

高知県は、これまで全国に先駆けてオランダの環境制御技術などの先進技術を取り入れ、高知県の栽培条件に適応させた「次世代型こうち新施設園芸システム」を開発し、普及を推進してまいりました。現在、環境制御技術の普及率は主要野菜7品目で53%に、次世代型ハウスの整備は59haまで進んできており、こうした取り組みの結果、農業産出額は、平成30年で1,170億円、近年の伸び率は全国でトップクラスとなっています。
一方で、生産者の高齢化や若者の県外流出などによる担い手の減少、労働力不足が喫緊の課題となっており、産地の維持・発展のためには、これまでの「次世代型こうち新施設園芸システム」にIoT・AIなどの最先端のデジタル技術を融合させることで、「Next次世代型」へと進化させる新たなイノベーションが今まさに求められています。
こうした中、2018年7月に「高知県Next次世代型施設園芸農業に関する産学官連携協議会」を設置し、同年10月には内閣府「地方大学・地域産業創生事業」に本プロジェクト「“IoP(Internet of Plants)”が導く『Next次世代型施設園芸農業』への進化」が採択されました。
現在、延べ140人を超える研究者や45社の企業の皆様に参画いただき、13の研究テーマ群とこれらに横断的に関わる3つの研究課題からなる「Next次世代型こうち新施設園芸システム」の開発プロジェクトに産学官連携のもと取り組んでいるところです。
今後、本プロジェクトをさらに加速させ、本県施設園芸農業の飛躍的な発展を図るとともに、一連の取り組みを通じて開発されたシステムや機器を国内外への地産外商につなげることにより、県内に施設園芸農業関連産業群を創出していくことを目指してまいります。
本プロジェクトを通して、農業分野での「Society5.0」を実現し、ここ高知県から全世界に発信することで、未来の農業を切り拓いていきたいと考えております。

事業責任者挨拶

事業責任者 受田 浩之
受田 浩之所属
高知大学 副学長 理事(地域・国際・広報・IR担当)

オランダから学び、発展させ、域外へ、更に海外へ

森林割合が84%と全国一の高知県では、ビニルハウスなどを活用して狭い農地で効率的な生産ができる施設園芸農業を古くから発展させてきました。施設園芸農業の生産性日本一を誇る高知県は、これまでにもオランダの最先端技術を取り入れた「次世代型施設園芸システム」の開発と普及により収量アップを果たし、「地産外商」を積極的に取り組んできています。一方、人口減少や農業離れによる人手不足、篤農家が持つノウハウの消滅が危惧され、さらなる生産性向上と新規就農者の獲得が課題とされてきました。この課題を解決するため、今回、平成30年度地方大学・地域産業創生交付金を活用し、「Next次世代型」として、ビニルハウス内の環境要素、農産物の生理・生育データや篤農家のノウハウまでをIoTで見える化し、栽培から出荷、流通までをAIにより最適に管理する「IoPクラウド」の構築に取り組んでいます。これにより農家間の情報を一元化し、主役である農家のニーズに応え、活用してもらえるクラウド型営農サービスを展開し、4定(定時・定量・定品質・定価格)生産を実現し、「さらに選ばれる産地」を目指します。また、この取り組みを通じて、新たな施設園芸関連産業群の創出を狙っています。
県下約6,500戸の農家がデータに基づく園芸農業を実践することで、より高収量の栽培につなげるとともに、農業を若者にとって夢と希望が叶えられる「持続可能な産業」にすることを目標に、一次産業をしっかり守り、競争力を高めて世界のトップを目指していきたいと思います。